ダイヤ買取の違いについて
様々なところでも論じられるように、顧客を満足させるうえでもっとも重要な要因がある。
ところが、客をあまり長いあいだ行列(など)で待たせると、サービス全般の印象が一挙に悪化することを認識している小売業者は少ない。
多忙なエグゼクティブは何ごとにつけても待たされるのが嫌いなのに、それはふつうの人も同じだということを忘れている。
ある家庭用品チェーンの副社長にショックを与えたビデオがある。
それは彼の店を撮影したビデオで、一人の女性が13分間もかけて買い物したあと、レジの長い行列に並んだのだが、気が遠くなるほど待たされることに気がついて、商品を山と積んだカートを放りだして立ち去ったのだ。
われわれにとっては驚くまでもない。
よくあることなのだ。
あるとき、仕事を依頼された銀行は、5分以上待たせた顧客に5ドル支払うキャンペーンを始めようと計画していた。
窓口の列を2日間にわたって調査した結果、われわれはクライアントにたいし、この計画は試算の3倍のコストがかかると報告した。
彼らは計画を中止し、客の待ち時間を短縮させることに取り組んだ。
自分たちの客を把握しているかだった。
ファミリーレストランのチェーンを調査したときのことだ。
2人掛けのテーブルがいやに多く、4人掛けのテーブルが少ないため、混雑時に問題が生じていた。
それというのも、食事にくるグループの人数を数えてみた者がいなかったからだ。
また、別のファミリーレストランのチェーンでは、各店の床面積のおよそ10%をカウンター式の座席が占めていた。
客のまばらな時間帯にカウンターが使われないのは、同行者のいない一人の客が新聞や雑誌を読めるテーブル席に座りたがるからだ。
混雑した時間帯に使われないのは、2人から4人のグループがテーブルに座りたがるからだ。
テーブル待ちの客が列に並んでいるときでさえ、カウンターには客がいなかった。
誰が自分の店の客なのかを小売業者が知らないことから生じる問題は、ひんぱんに起こっている。
ニューヨークのグリーリー・スクェアにあるニューススタンドが、売上げを伸ばすために雑誌のスペースを広げようと計画した。
われわれが調べたところ、すぐ近所に大きなコリアンタウンがあるため、客の大半がコリアンかヒスパニックだった。
ハングルの雑誌(ハングルの新聞はすでによく売れていた)と、ラティーノ市場で人気のソフトドリンクを仕入れてはというわれわれの助言にしたがった結果、売上げはたちまち伸びた。
これに類した問題は、ニューヨークやロサンゼルスのような大都市ではよく見られる。
店やレストランでひと休みしようとする外国人客である。
だが、アジア系の客のための便宜はほとんどはかられていない。
彼らは数も多く、ぜいたくに散財する傾向もあるというのに、日本語やハングルでのサイズ換算表も、為替レートの表示も、使用可能なクレジットカードの表示もない。
気のきいた小売業者なら、かたことでも日本語、ドイツ語、フランス語、スペイン語をしゃべる従業員に報酬を与えるだろう。
外国で買い物をした経験があればわかるように、ちょっとした一言が大きなちがいを生むのだ。
レストランには日本語やドイツ語のメニューを用意するとよい。
だが、小売業者が自分の客を把握していないことを示すには、外国人にかかわる話をもちだすまでもない。
ある全国チェーンのドラッグストアのワシントンDC店は、行くたびに楽しませてくれた。
そこではヘアダイやマニキュアをはじめとしてブロンド用の製品を各種取り揃えている。
店の客の95%以上がアフロ・アメリカンなのだが。
それから、フロリダに本拠をおくドラッグストアのミネアリス店。
そこではあらゆる種類の日焼け用ローションが大々的に陳列されていた。
季節は十月だったのだが。
ショッピングの科学の背後にある第1の原則は、単純そのものだ。
すべての人間には共通した生理的、解剖学的な能力と傾向と限界と欲求があり、ショッピング環境はこうした特徴に合わせなければならないのである。
言い換えれば、商店や銀行やレストランなどの空間は、ヒトという動物の特性になじむようにする必要がある。
客には性別、年齢、収入、趣味や好みなど、外見的な相違がいくつもある。
だが、それよりも共通点のほうがずっと多いのだ。この事実と、それにともなう考えは使用者の生物的な特質を反映すべきだとは、わざわざ言うまでもなく、わかりきったことではないだろうか?つまるところ、こうした店を設計、計画、経営するのは人間で、そのほとんどは、ときとして自分自身が買い物客ではないのか。
すべては正しく行なわれて当然だと思える。
それなのに、人間という機械がどのような構造で、その行動が生理的、解剖学的にいかに規定されているかについて、ショッピング環境をととのえる側が認識しそこね、対応しそこねていることを暴露することが、われわれの業務の大半を占めている。
私がここで話しているのは基本中の基本だ。
われわれには手が2本しかないことや、使わないときの手が床から約3フィートの高さにあることなどである。
また、われわれの目は正面についていて、目の端でとらえるものの大きさは環境によっても決定されること、それにモノよりは人を見ることということもある。
たとえば、さらに、人がどこをどのように歩くかをほぼ確実に予測できるという事実もある。
人間は予測可能な経路を進むときに速度を上げ、周囲に反応すると減速して立ち止まることなどだ。
これらすべての意味するところは明らかだ。
買い物客がどこへ行き、何を見て、いかに反応するかが、彼らの買い物体験の質を決定するのである。
彼らは商品や掲示をはっきりと見るか、あるいは見ない。
商品に楽に手を伸ばし、あるいは苦労して手を伸ばす。
売り場をゆっくりしたペースで移動し、あるいはさっさと通り過ぎる。
またはまったく通らない。
こうした生理的、解剖学的要因がすべて動員されて、複雑な行動のマトリックスを形成する。
ショッピング環境が買い物客という生物にみずからを適応させるつもりであるならば、これを理解しなければならない。
ショッピングの科学からわれわれが学んだ何よりも重要な教訓は、つぎのようなものだ。
適合性と収益性は全面的かつ複雑に結びついている。
あらゆる面において前者を心がけよ、そうすれば後者が保証される。
高度に個人的な買い物客のニーズに対応するショッピング環境を構築し、運営せよ。
そうすれば繁盛する店が生まれる。
きわめて基本的な事柄、たとえば人の手がつかめる量、移動中に読めるものの限度、買い物客以外の人間の生理的欲求でさえもが、いかにショッピングを決定しているかを見ていく。
ちょっとじっとして。
何も聞くな。
黙って見ていたまえ。
われわれは駐車場の真ん中に立っている。
それがポイントだ。
わかるだろうか、誰もが足早に店内へと向かう。
早く店に入りたくて気がせくから?そうかも。
だが、私はこれまでに駐車場を通り抜ける人びとをずいぶん見てきたが、誰もが早足なのだ。
駐車場はのんびり歩く場所ではない。
5番街ではないし、目抜き通りでもない。
急発進する車、排気ガスのにおい、アスファルト、それから何よりもいつもの天気である。
雨、風、冷気、熱気。
世界のどこでも駐車場はつねにひどい天気なのだ。
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